ウエディングドレスを着せてやろう
その日、
「ただいまー」
と花鈴が家に帰ると、兄夫婦が来ていて。
父親は孫を抱き歩き、ほのぼのしつつも騒がしい感じだった。
「ハルちゃん、あとでお姉ちゃんにも抱っこさせてねー」
と花鈴がぷくぷくした頰の甥の晴樹に言って、手を洗いに行こうとしたとき、母親が言ってきた。
「花鈴、あんた、日曜は暇?」
はあ、暇ですよ。
コンパも決まってないし、専務の謎のラブラブデート計画もまだ発動してないですしね。
エレベーターの中で二人きりになっても、最近どうだ? しか言わない人と、ちょっと一緒に出かけたからって、ラブラブにはなれない気がするんですが。
専務、どうですか?
と思っていると、
「そう。
じゃあ、よかった。
あんた、ちょっと見合いに行ってきてくれない?」
と母、志木子が言う。
ん? なんだって?