ウエディングドレスを着せてやろう
「大丈夫だ、お前なら。
 向こうは立派なおうちのご子息なんで、本来、うちに来るような話じゃないし。

 こっちから断らなくても、絶対に断られるから」

 絶対に断られる見合いにわざわざ出かけていく意味はどの辺に……。

 うーむ。
 疲れてるから、日曜はゆっくりしたかったんだけど。

 っていうか、父親の酒代のかわりに売られるとか何時代、と思いながらも、断る理由を思いつかなかった。

 父母兄に言いくるめられそうになりながら、ぼんやり思う。

 ……こんなとき、人はニセの結婚式の写真とか撮りたくなるものなのだろうか。

 いや、私はならないが。

 あの人、やっぱりどうかしている、と思っている間に、勝手に話は進んでいた。



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