ウエディングドレスを着せてやろう
 


「あのー、私、小洒落てない店に行きたいです」

 車に乗ってすぐ、何処の店に行くか、タブレットで確認し始めた光一の横で、花鈴は言った。

 光一が見ている店がどれも高そうで、気疲れしそうだったからというのもある。

 光一はタブレットを閉じると、顔を上げて、訊いてきた。

「どんな店に行きたいんだ?
 お前の行きたいところなら何処でも連れて行ってやるぞ」

 まっすぐに見つめて言ってくる光一に、花鈴は、ひーっ、と心の中で悲鳴を上げる。

 さっきまで目を合わさなかったくせにっ。

 なんで、そんな真正面から見てくるんですかーっ、と思いながらも、光一の視線に固まってしまったせいで。

 花鈴もまた光一から視線を離せずに居た。
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