ウエディングドレスを着せてやろう
「うわっ、なんですか、このパリッとした鳩のローストは。
めちゃくちゃワインに合いますよ」
最初こそ、緊張していた花鈴だが、そのうち、料理と屋台を堪能し始めた。
「専務、専務。
これ、食べました?
この蛤の炒め物。
どういう味付けなんですかね?
辛いの苦手なんですけど、これはイケますよ。
酒に合いますね~」
「……ひとつ訊いてみるんだが、お前にとって、酒に合わない料理というのはあるのか」
「ないですね~」
と花鈴は深く頷きながら、ぐびり、と白ワインを呑んだ。
最早、なにも緊張していない。
「まあ、楽しそうでなによりだ」
と笑う光一は車があるので、呑んではいなかった。
だから、自分も呑まないと言ったのだが。
それだとせっかく連れてきてやったのに楽しめないだろう、と言って、光一は花鈴に呑むよう勧めてくれたのだ。
「専務、今度は私が専務を乗せてきますね」
と言うと、光一は笑う。