ウエディングドレスを着せてやろう
「ところで、さっきから誰とLINEしてるんだ?」
と光一がテーブルに置いたままの花鈴のスマホを見る。

「あ、堀口さんが。
 昨日、堀口さんところに回したはずの回覧がなくなったって。

 急がないけど、何処に置いたのかって言うから。

 今、呑んでて思い出せませんって言ったら、誰と呑んでるのかって話になって」

 ふうん、と言ったあとで、光一は薄暗い店の中、明るくなった花鈴のスマホに視線を向けかけてやめる。

「いや、別に見てもいいですよ。
 ほとんど、仕事の話だし……」
と笑って言いながら、スマホの画面を見た花鈴は固まった。

『ラブラブデートもいいけど。
 言ったじゃないの。

 キスのひとつもすれば、一気に距離が縮まるって』

 ひーっ。
 何故、今っ、堀口さんっ、とちゅっとクマが投げキッスをしているスタンプを見ながら、花鈴はフリーズする。
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