ウエディングドレスを着せてやろう
「……してみるか」

 はいっ?
と言う声が裏返ってしまった。

 すると、光一は笑いもせず、

「冗談だ」
と言ってくる。

 あ、冗談ですよね。

 ……冗談ですよね?

 はは、となんとか笑った花鈴は、
「あっ、あっちになんだかカフェっぽいスペースありますね。
 飲み物とってきましょうか」
と遠い場所にあるイタリアのカフェっぽいカウンターを指差していった。

「なにがいいですか?」

「カフェモカで」

 ……カフェモカか。
 ちょっと可愛いな、と思いながら、はいっ、と花鈴はダッシュする。

 いや、本当に走るわけではないが、早足でその場から逃げ去った。


< 201 / 373 >

この作品をシェア

pagetop