ウエディングドレスを着せてやろう
 


 カフェスペースは少し混んでいたので、戻るまでに時間がかかった。

 カフェモカとアイスのカフェモカを手に戻ってきた花梨が、
「はい、専務」
とホットの方を渡すと、光一は花鈴を見上げ、

「冗談だからな」
と言ってきた。

 イタリア風のカウンターやいろんな屋台を見て、すっかり気分の切り替わっていた花鈴は、
「え? なにがですか?」
と訊き返してしまう。

「……なんでもない」

 ありがとう、と小さく言って、光一はカップに口をつけていた。




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