ウエディングドレスを着せてやろう
「やあやあ、すみません。
 何故か、こんなところに、うちの妻が。

 なんだ、お前。
 俺の顔が見たかったのか、こいつめ」
と光一は額をつついてくるが、その目は、まったく笑っていない。

 誤魔化したかったのでしょうが。

 普通、最終面接の場でそのようなことはしないと思いますね……。

 この人、無表情だが、こう見えて、動転しているのだろうか。

 しかし、私も動転している、と花鈴は思っていた。

 かつて、足を踏んだ罪で結婚させられた夫が、何故か今、此処に居るからだ――。








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