ウエディングドレスを着せてやろう
このミッションが終わったら、か。
何処が終わりなんだろうな、と思いながら、花鈴は仕事終わりのロッカーで、また、もふもふしていた。
すると、
「西辻」
とロッカールームの外から声がした。
光一の声だ。
「西辻、帰ったか?」
「いっ、居ますっ」
と花鈴はブランケットを元に戻そうとして、手を滑らせる。
ブランケットと同じ棚に置いていた髪を止めるピンやゴムの入っている可愛い缶を落としてしまい、中身を散らばらせた。
ひいっ、と慌てて拾おうとしたとき、
「今、すごい音がしたが、大丈夫か?」
と光一が心配して言ってきた。
「だっ、大丈夫ですっ」
他に誰も居ないし、此処は置いておいて、専務のところに行った方がいいな。
急ぎの用かもしれないし、と思って行こうとしたとき、
「西辻っ、生きてるかっ?」
と光一が扉を叩きながら、叫んできた。
いや……そんなおおごとじゃないんですけど。
缶が落ちるとすごい音がするからな、と苦笑いしながら、花鈴は扉の方に向かいながら言った。