ウエディングドレスを着せてやろう
「大丈夫ですっ。
 すみませんっ」

「そうか。
 ならよかった。

 中に入れないんで、確かめようがないからな」
と言うので、

「いえ、入られても大丈夫ですよ。
 今、誰も居ませんし。

 此処、物置兼用なので、おじさんたちもガンガン入ってきますから」
と花鈴は答える。

 化粧直しなんかは此処でサッと済ませてしまうことも多いが、パウダールームは別にあるし、此処は基本、物を置くだけの部屋だからだ。

 そうなのか、と言いながら、光一が扉を開けたので、花鈴は戸口に向かうのはやめ、落としたピンを拾って片付けた。

「いや、予定より早く仕事が終わりそうだから、シュークリームでも買ってやろうかと思って」
と言いながら、光一がやってきた。
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