ウエディングドレスを着せてやろう
そのあと、光一がシュークリームを買いに連れていってくれた。
光一の車の匂いや座席に落ち着かない感じになりながら、なんとか会話をしつつ、また駐車場に戻った。
置いていっていた花鈴の車の横にとめた光一は、なにか言いかけ、沈黙する。
「あのっ、今日はど……」
どうもありがとうございました、と花鈴が言い終わる前に、光一が口を開いた。
「……もういい時間だし、食事にでも行くか?
ほら、お前とラブラブにならないといけないし」
じゃあ、何故、一度、駐車場に戻ってきましたか。
別々の車で、そこまで行くという意味だろうかな?
と思っていると、
「いろいろお前には迷惑をかけてるからおごってやる」
と光一が言ってきた。
「えっ?
結構ですっ。
シュークリームも買っていただきましたしっ」
そう慌てて断ると、光一はまた沈黙する。
……別に一緒に食事に行くこと自体を断りたかったわけではないような。
でも、なにもしてないのに、おごってもらうのもな。
割り勘でどうですか? 専務、と花鈴は思っていたが。
「専務、割り勘にしませんか?」
というのもなにか妙な感じだ。