ウエディングドレスを着せてやろう
「わかった。
 昨日、専務となにかあったんでしょ」

 そう笑って言われ、二人でブランケットに(くる)まれていたときのことを思い出していたが。

 何故だか口に出して言う気にはなれなかった。

 二人だけの秘密として黙っておきたいような気が……

 しないでもないでもないからだ。

 そんなこちらの顔を見ていた詩織は、ふふふと笑い、
「さては、専務とキスでもしたのね」
と面白がって言ってくる。

「いやいやいや。
 専務がそんなことするわけないじゃないですか」
と思わず言って、

「いや、だから、あんたたち、どんな関係なのよ……」
と言われてしまう。

 だから、なりゆきで結婚式の写真撮っただけの関係ですよ、と思っていたのだが、詩織は、

「あのさ、幾らその場を取りつくろうためだって、好みじゃない女に、結婚式の写真撮ろうなんて言わないと思うのよ」
と主張してくる。
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