メーティスの頭脳

幸せそうな二人の写真に、透は少し嫉妬を覚えた。その時、ギイッと軋んだ音を立ててドアがゆっくり開く。

「……何をしているの？」

低い声に、透は慌てて振り返る。玲奈が無表情で透を見つめていた。そして、その透の手にあるノートを見つめてハッとした顔を見せる。

「そのノートを見たの！？」

冷静な玲奈が、取り乱していた。玲奈は「返して！！」と近寄ってくる。慌てて透はそのノートを頭上に上げた。玲奈より透の方が身長は高いため、玲奈はノートを取れない。

「返してほしかったら、この助手について話して。なぜ美咲さんや宍戸がこの事件を追っているのか、何があったのか、教えて。俺だって知りたいんだよ！！」

透は玲奈をまっすぐに見つめる。玲奈は瞳を見開き、固まっていた。しかし、諦めたのかうつむいてベッドに腰かける。

「あんたがこの研究所に来るずっと前の話よ……」

玲奈は覚悟を決めたように、ゆっくりと話し出した。