メーティスの頭脳
少しオドオドしながら良太郎は答える。玲奈はそれに気にすることなく疑問をぶつけていった。

「旅行中、何か変わったことはありませんでしたか?」

「変わったこと……。う〜ん……。強いて言うなら、俺がアイツをふざけて公園の池に突き落としたくらいですかね?」

「池に突き落とした?」

玲奈の目が変わったのを、透は見逃さなかった。美咲も玲奈の変化に気付いたらしく、透と目が合うと真剣な表情を見せる。

「正直言うと、アイツってめんどくさい人間なんですよね〜……。友達依存ってやつ?何をするにも学生の頃から俺と一緒。女子かよって思うくらい鬱陶しくて。就職先の会社が別になった時、アイツは「死んでやる!!」ってうるさくってさ。今回の旅行も嫌々行ったんですよね。お荷物が死んでくれてよかったかも」

ケラケラと良太郎は笑う。なぜ嫌なら就職を機に縁を切らなかったのかと透はモヤモヤする気持ちでいっぱいだった。しかし、玲奈は笑顔を見せる。
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