完璧御曹司の優しい結婚事情

「私、後悔はしたくないっていつも思ってますけど、いつだって後悔ばかりです。
もっと幸せになりたいし、相手のあることならもっと幸せにしたいって思う。それなのに、もっとこうすればよかったって、いつも後悔がついて回るんです。
でも、自己満足だろうが結果がまずかろうが、相手のことを思って起こした行動なら、そこに意味が生まれるはずです。
課長の行動も、きっと香穂さんにとって意味があったと思います。だって、香穂さんは最後に、自分の想いを課長に告げられたんですから」

課長は何も言わずに、さっきのまま少し目を見開いて私を見つめている。
私、課長を相手に偉そうに……急に、長々と支離滅裂に語ってしまったことに、焦りを感じ始めた。

「す、すみません。関係のない私が言うことではなかったですね。ごめんなさい」

「いや……ありがとう」

課長はふうっと息を吐き出して、肩の力を抜いた。その顔には穏やかな笑みがもどっていた。