完璧御曹司の優しい結婚事情
翌朝、目を覚まして一瞬、ここはどこかと戸惑った。
ああ、そうだ。課長のお宅に泊まらせてもらったんだった。

時計を見ると7時半。なんでも自由にしていいと言われた言葉にあまえて、顔を洗って身支度を整えていく。
課長も既に起きていたらしく、リビングに灯りがついている。


「おはようございます」

「ああ、おはよう。よく眠れた?」

「はい。何から何まで、ありがとうございました」

「どういたしまして。朝食を食べたら送っていくよ」

「でしたら、お手伝いをします」

「大丈夫。すぐできるから、座って待ってて」

うう……お礼に何かをって思っていたけれど、何もできることがなさそうだ。せめてもと、出来上がったものを運んだ。トーストと、コーヒーにヨーグルト。以前もこういった食事を用意してくれたけど、課長は食事や掃除、洗濯なんか、自力できちんとした生活をしているんだろうと想像できる。

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