完璧御曹司の優しい結婚事情
「樹君。香穂とのことがなくても、私達はあなたのことを本当の息子のように思ってる。それは、樹君のご両親も同じで、香穂のことを今でも本当の娘のように思ってくださってるの。だから、家族として言わせてもらうわね」
どこかけじめをつけるような言い方をする久美さんに、自分もつられて姿勢を正して身構えた。
「次はあなたが、本当に幸せになる番よ。樹君ももう32歳よね?いつになったら、お嫁さん候補に会わせてもらえるのかしら?」
ふっと目元を緩めて、クスリと笑う久美さん。
「私達のことは気にしないで。あなたも幸せになっていいのよ」
「久美さん……ありがとうございます」
「やっと、すみませんじゃなくて、ありがとうって言ってくれたわね。その言葉の方が、ずっと嬉しいわ」
それからしばらく、香穂の写真を見ながら、懐かしい話をして過ごしていた。写真の中の香穂と久美さんの言葉の中に、改めて、たった20年で閉じた人生だったけれど、確かに香穂は存在していて、幸せな瞬間がたくさんあったと感じた。
山梨のお宅を後にする頃には、肩の荷が降りたようで、清々しい気分になっていた。
どこかけじめをつけるような言い方をする久美さんに、自分もつられて姿勢を正して身構えた。
「次はあなたが、本当に幸せになる番よ。樹君ももう32歳よね?いつになったら、お嫁さん候補に会わせてもらえるのかしら?」
ふっと目元を緩めて、クスリと笑う久美さん。
「私達のことは気にしないで。あなたも幸せになっていいのよ」
「久美さん……ありがとうございます」
「やっと、すみませんじゃなくて、ありがとうって言ってくれたわね。その言葉の方が、ずっと嬉しいわ」
それからしばらく、香穂の写真を見ながら、懐かしい話をして過ごしていた。写真の中の香穂と久美さんの言葉の中に、改めて、たった20年で閉じた人生だったけれど、確かに香穂は存在していて、幸せな瞬間がたくさんあったと感じた。
山梨のお宅を後にする頃には、肩の荷が降りたようで、清々しい気分になっていた。