完璧御曹司の優しい結婚事情
翌日、出勤して早々に、前島さんから声をかけられた。

「葉月ちゃん、金曜日は大丈夫だった?急に降ってきたもんな」

「な、なんとか大丈夫でした。前島さん達は大丈夫でしたか?」

本当は、私も全然大丈夫じゃなくて、課長のマンションに泊めてもらっただなんて、絶対に言えない……

「降っている間は2軒目に入ってたから大丈夫だったけど、電車も止まって帰る手段がなくなって参ったよ。結局、鈴木の家が近いからって、泊めてもらったんだ。それでも歩いて30分はかかったけど」

前島さん達も、それなりに大変だったようだ。

「あっ、課長。おはようございます。課長は金曜の夜、大丈夫でした?」

ちょうど通りがかった真田課長に、前島さんが声をかけた。課長は一瞬、チラッと私を見て小さく微笑むと、何事もなかったかのように話した。


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