完璧御曹司の優しい結婚事情

「あらあら、葉月ちゃん。顔が真っ赤よ。今更ながらに恥ずかしくなっちゃった？」

かっこよくて、仕事ができて、完璧な人だと憧れていた頃の私にとって、課長は尊敬の対象だった。
でも、プライベートの姿を知って、私の話も聞いてくれて……いつのまにか尊敬が好きに変わっていた。そんな人に、記憶がないとはいえ、お姫様抱っこをされてたなんて……

「葉月ちゃんはさあ、性格もいいし見た目も可愛いし、前島さんとか鈴木さんとか、あっ玉田さんもかな？本気で好意を持ってると思うわよ」

「えっ？そ、そんなことないですって」

「あるって。それに……課長も葉月ちゃんのことが気になってるんだと思う」

「えっ……？」

「なんかさあ、うーん……なんていうか、課長の葉月ちゃんを見る目が、ここのところなんか違うんだよねぇ」

「えっと……た、たぶん、飲み会で仕事以外の話もしたから、これまでより打ち解けたっていうのもあるかと……」

「それだけかなあ……うーん……」