完璧御曹司の優しい結婚事情
「そ、そうですって。だって、あんなに完璧な方で、次期社長という立場の人ですよ?きっと、私なんかよりずっと綺麗で仕事もできるようなお相手がいますって」

「まあねぇ……次期社長ともなれば、許嫁がいたり、政略結婚の予定があったりするのかもね。あの立場の人だもの。自由にというわけにはいかないのかも。まあ所詮、私達にとって課長は目の保養よね」

「そ、そうですね」

〝誰とも付き合うことはなかった〟とか〝人を愛する資格はない〟って確かに言ってたけど、会社を継ぐともなれば、独身のままでいるわけにはいかないだろう。そうするとやっぱり、お見合いとか政略結婚とか……
そうやって想像するだけで、胸がズキズキと痛み出す。

「ちょっと葉月ちゃん。なに落ち込んじゃってるの?って、葉月ちゃん、課長のこと本気で……」

なにも言わずに俯く私に、佐藤さんは私が抱く気持ちを察したのか、背中を優しく撫でてくれた。


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