完璧御曹司の優しい結婚事情
身体的にも精神的にも疲れが溜まっていた、金曜日のランチタイムが終わる頃。再三に渡るお断りの意味も通じてなかったのか、再び鈴木さんに食事に誘われていた。しかも、オフィスの私の席で……

「葉月ちゃん、今日こそ食事に行こうよ」

「い、いえ……」

自分でも顔が引きつるのがわかるほどなのに、鈴木さんにはわからないのか、それとも気付かないふりをしているのか。もうどうしていいのか、わからない。

「ちょっと、鈴木さん!!」

困っていたところに、佐藤さんが割って入ってくれた。

「葉月ちゃんが困ってるじゃないの!!あのね、葉月ちゃんには、好きな人がいるの。邪魔しないであげてよ」

「「えっ?」」

ポカンとした顔の鈴木さんと、聞いていただろうとと思われる、目の前の席の前島さんの声が重なった。

「えっと……葉月ちゃん、彼氏いるの?」

「えっ……」

ここでいると言えば、ちょっかいをかけられずにすむのだろうか……ただ、変な噂が立っても嫌だし、何よりここはオフィス内だ。私は仕事に集中したい。

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