完璧御曹司の優しい結婚事情

「葉月、愛してる」

初めて経験する痛みよりも、樹さんが与えてくれる優しさが嬉しくて、幸せな気持ちの方が大きかった。


いつのまにか、樹さんの腕の中で眠りについていた。



その夜、樹さんの腕の中で幸せな夢を見た。
父と母が２人揃って、私に優しい笑みを向けている。
私は２人に駆け寄って、「ごめんなさい」と、あの最後の日のことを謝った。
母がそっと私を抱きしめると、それに重ねるように父がまとめて２人ともを抱きしめた。その大きな手で頭を撫でられると、私の目から涙がこぼれ落ちた。

『葉月、愛してるよ』

『葉月、幸せになるのよ』