完璧御曹司の優しい結婚事情
「驚かせてしまったかな?なんか、葉月が近くにいると、どうしようもなく触れたくなってしまうんだ。葉月、おいで」

私の持っていたコーヒーをとりあげてテーブルに置くと、ぐっと肩を抱き寄せられた。大きな手で頭を撫でられれば
心地良くて思わず目を閉じそうになる。

「朝食を食べたら、うちへ行こう。今日は2人でゆっくりしよう」

魅力的な提案に、コクリとうなずく。何処かへ出かけるよりも、素敵な過ごし方だ。もちろん、出かけるのも樹さんと一緒なら楽しいんだけど。



朝食を食べて一息つくと、ホテルを後にした。
今日は私を休ませたいからって、昼食も夕食も、樹さんが作ってくれると言う。

樹さんのマンションに帰ってくると、なんだかホッとした。素敵なホテルはもちろんよかったけど、いつの間にかこの部屋が最も落ち着く場所になっていたことを実感する。


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