完璧御曹司の優しい結婚事情
「そんな顔しないで。寂しく思うのは僕も同じだよ。だから、はい。手を出して」

なんだろう……言われるまま手を差し出す。樹さんはそれを両手で包み込むと、何かを握らせた。そっと手を開くと、そこには鍵があった。首を傾げて樹さんを見る。

「それ、ここの鍵だから。葉月の来たい時は、いつでも来ていいよ」

思わず目を見開く。

「いいの?」

「もちろん」

「ありがとう。すごく嬉しい」

私の笑顔に、樹さんも満足そうに頷く。〝いつでも来ていい〟という言葉に、樹さんが私を信頼してくれているのが伝わってくる。


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