完璧御曹司の優しい結婚事情
この日の夜は、私に無理をさせたくないからって、ただ後ろからギュッと抱きしめられながら眠りについた。

翌朝は、２人でゆっくり目を覚まし、一緒に朝食を作った。

「葉月、体はもう大丈夫？」

「うん。なんともないみたい」

「じゃあ、今日は映画でも見に行こうか？」

選んだのは、家族をテーマにした映画だった。涙もろい私は、案の定、中盤からぼろぼろと涙を流し続けていた。

「確かに感動する映画だったけど、葉月がこんなにも涙もろいとは知らなかったなあ」

映画館を出てカフェで一息つくと、樹さんが驚いたように言った。

「私、すごく涙もろくて。嬉しくても悲しくても、すぐに泣いちゃうぐらい。友達からよく冷やかされてたなあ」

「それぐらい、葉月は相手の気持ちに寄り添えるってことだよ」

涙もろい自分が嫌だったのに、樹さんの一言でこんな自分でもいいんだって思えてしまうから不思議だ。


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