完璧御曹司の優しい結婚事情

絶対に離さないとでもいうように、きつく抱きしめられる。でも、私に触れる手はどこまでも優しくて、それがたまらなく幸せな気持ちにさせてくれるから思わず涙が滲む。

怖いぐらいに樹さんのことが好き。もし彼が私の前からいなくなってしまったら、私はどうなってしまうのだろうかと、心の底で不安が生まれるのを感じた。


彼は今、こうして触れられるところにいる。それなのに不安を感じるなんておかしい。
心の底に生まれた小さな黒い塊を、さらに奥に仕舞い込んで見えないようにした。