完璧御曹司の優しい結婚事情
「葉月ちゃん、ランチに行こう」

ランチタイムになると、佐藤さんに声をかけられた。急いで片付けをしつつ、ふと樹さんの席に視線を向ける。樹さんは未だにもどってきていない。

「葉月ちゃん、そのネックレス素敵じゃない」

「あ、ありがとうございます」

「もしかして、彼氏から?」

名前でなくて、あえて〝彼氏〟なんて言われると、なんだかむず痒くなってくる。

「はい」

はにかんで答えれば、ますます冷やかされることになる。

「やだあ。葉月ちゃんったら照れちゃって。本当に可愛いんだから。彼氏もきっとベタ惚れね」

「あっ、いえ、そんな……」

「ふふふ。それはともかく、課長ったら、朝からずっといなかったわね」

「何かあったんでしょうか?」

「うーん……関係ないかもしれないけれど、今朝廊下で立ち話をしてるのを聞いちゃったんだよね。今井さんの代打が来るとかなんとか」

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