完璧御曹司の優しい結婚事情
「すまない、葉月。僕も接待だと聞いていたんだ。でも、来てみたら全く違ってた。ねえ、葉月。ちゃんと話がしたい。今から会って欲しい」

これから何を聞かされるというのだろう。別れ話をされるなら、人目につくのは嫌だ。だからといって、どちらかの部屋でなんていたたまれない。結局、今いる場所を伝えることにした。

「すぐに行くから。そこを動かないで」

通話が切れると、そっと息を吐き出した。樹さんと話すのに、こんなに緊張していたのかと苦々しく思う。

もうすぐ樹さんがここに来る。心の準備をしようにも、何をどうかまえたらいいのかわからず、目を閉じて俯いた。











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