完璧御曹司の優しい結婚事情
「葉月。まず最初に言っておくけど、北沢さんとは何もないから」
私と目を合わせて、反応を伺いながらゆっくりと言った。
「北沢さんは、今日、僕とお見合いするつもりでいたみたいなんだ。この話は、あちら側から持ち込まれたものだ」
〝お見合い〟と聞いて、思わず顔をしかめた。やっぱり、樹さんのような立場の人は、会社のつながりで結婚するのが普通なのだろうか……
「僕が先日、香穂の母親と話をしたことが父親に伝わって、やっと再婚する気になったと思ったみたいで、勝手に動き出してた。最初に北沢さんの話を聞かされた時、相手方にも父にも、付き合っている人がいて、将来を考えてるからってきっちりお断りしたんだ」
話の結末が見えなくて、不安になるばかりだ。
「それで納得してもらったのは確かだった。父には葉月とのことを話して、ちゃんと祝福してくれている。
ただ、北沢さんサイドから、社会勉強のためにうちで働きたいと言われて、それならと父が受け入れたんだ。でも、実際は北沢さんがまだ諦めていなかったようで……北沢さんが望んだお見合い話だったみたいで、なにかにつけて食事でもと誘われるから、毎回断ってきた。自分からも父からも、そのつもりはないと再度伝えてたんだけどね」
樹さんは申し訳なさそうな表情をした。
私と目を合わせて、反応を伺いながらゆっくりと言った。
「北沢さんは、今日、僕とお見合いするつもりでいたみたいなんだ。この話は、あちら側から持ち込まれたものだ」
〝お見合い〟と聞いて、思わず顔をしかめた。やっぱり、樹さんのような立場の人は、会社のつながりで結婚するのが普通なのだろうか……
「僕が先日、香穂の母親と話をしたことが父親に伝わって、やっと再婚する気になったと思ったみたいで、勝手に動き出してた。最初に北沢さんの話を聞かされた時、相手方にも父にも、付き合っている人がいて、将来を考えてるからってきっちりお断りしたんだ」
話の結末が見えなくて、不安になるばかりだ。
「それで納得してもらったのは確かだった。父には葉月とのことを話して、ちゃんと祝福してくれている。
ただ、北沢さんサイドから、社会勉強のためにうちで働きたいと言われて、それならと父が受け入れたんだ。でも、実際は北沢さんがまだ諦めていなかったようで……北沢さんが望んだお見合い話だったみたいで、なにかにつけて食事でもと誘われるから、毎回断ってきた。自分からも父からも、そのつもりはないと再度伝えてたんだけどね」
樹さんは申し訳なさそうな表情をした。