完璧御曹司の優しい結婚事情
「でもね、やっぱり反対しておくべきだったって、後から思ったわ。香穂ちゃんが亡くなってから、あの子、抜け殻の様になってしまって。あの性格でしょ?悪い方へ走ることはなかったけど、何かを振り切るように仕事に没頭してね。仕事に一生懸命になることは悪いことじゃないって、最初は見守っていたの。
けれど、あの子には本当にそれだけだったの。何かを楽しむとか、誰かと共有するとか、仕事以外のことに、少しも目を向けなくなってしまったの」
そう言って、悲しそうに目を伏せた。
お母さんの話を聞きながら、付き合う前のあの日、樹さんが聞かせてくれた話を思い出していた。当時、樹さんも苦しんでいただろうけれど、ご両親もまた、そんな樹さんを見て苦しんでいたのだろう。
「その樹がね、ここのところずっと生き生きしてるの。毎日顔を合わせるわけじゃないけど、たまに会うと表情の違いがすごくよくわかるの。そこにきて、樹がおとなになって2度目の我がままを言ったの」
お母さんが嬉しそうに小さく微笑むと、お父さんまでもが笑みを浮かべた。
けれど、あの子には本当にそれだけだったの。何かを楽しむとか、誰かと共有するとか、仕事以外のことに、少しも目を向けなくなってしまったの」
そう言って、悲しそうに目を伏せた。
お母さんの話を聞きながら、付き合う前のあの日、樹さんが聞かせてくれた話を思い出していた。当時、樹さんも苦しんでいただろうけれど、ご両親もまた、そんな樹さんを見て苦しんでいたのだろう。
「その樹がね、ここのところずっと生き生きしてるの。毎日顔を合わせるわけじゃないけど、たまに会うと表情の違いがすごくよくわかるの。そこにきて、樹がおとなになって2度目の我がままを言ったの」
お母さんが嬉しそうに小さく微笑むと、お父さんまでもが笑みを浮かべた。