完璧御曹司の優しい結婚事情
「その時のことを、全く覚えていないの？」

興味津々で聞いてくる佐藤さんに気圧されつつ、首を縦に振る。

「鈴木さん達が来て、飲むペースが速いから自制しないとって思ってたんですけど……抱き上げてって……」

「もったいないなあ。あの真田課長にだよ。ああ、私も酔い潰れたふりをしとけばよかった。お酒に強いこの体質を恨むわ」

半分ふざけて、だけど半分本気のように話す佐藤さん。
覚えていないとはいえ、今聞かされた事実に、私はただただ恥ずかしくなる。おまけにその後、課長のマンションに泊まっただなんて……

「なんにせよ、葉月ちゃんが無事でよかったわ。鈴木さん達は、一回とっちめておかないとね。なあにが日頃お世話になっている女性アシスタントをもてなすなのよ！！」

そう本気で怒る今井さんに、佐藤さんも同調する。

「本当よ。あの人達、今度は片山さんと一緒に酔い潰してやるわ。可愛がってやろうかしら」

悪巧みを思いついて、２人ともにやりと笑みを交わしている。２人の話を聞いていると、私は真田課長のおかげで無事だったということがよくわかる。


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