「No title」


あと1ヶ月は立花先輩に会いたくなかった



私は本を持って立ち上がり


「待ってますけど」


図書室の入口で立ち尽くす女の人に視線を送る


すると立花先輩は一瞬女の人に視線を向けたけどすぐに私に視線を戻し

女の人に聞こえるように


「勝手に着いて来ただけ」


と冷酷な言葉を発した



それを聞いた女の人は怒ったのか
ふんっと図書室を出ていた



なんて冷たい人なんだ



まぁそんな事私にはどうでも良くて
時計を見ると丁度いい時間になっている事に気づく


「じゃあ私バイトなので失礼します」


本を元の位置に戻し
立花先輩の横を通り過ぎて図書室を出ようとした



「手、離してください」



右手に感じる立花先輩の温度


この人は手を掴んで引き止めるのが趣味なのか







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