「No title」
ガタガタッ
立花先輩が固定された扉を開ける
「風鈴大丈夫か?!」
私に駆け寄ってきた立花先輩の額には薄ら汗が滲んでいる
私は安心して思わずクスッと笑ってしまった
「少女漫画のヒロインになった気分です」
なんて少し馬鹿なことを言ってみた
だけどすぐに立花先輩の様子がおかしい事に私は気づく
「大丈夫、すぐ助けるから」
私の傷口をハンカチ越しで抑える立花先輩の手は酷く震えている
汗もポタポタと滴るほど出ている
「立花…先輩?」
傷口は深かったもののずっと抑えていたお陰で血は止まりかけている
「大丈夫…大丈夫
絶対に死なせないから…!」