「No title」
「先輩、話は後でお願いします
私急いでるので」
そう言って私は立ちはだかる金髪イケメンの横をするりと通り抜けた
……はずだった
「先輩、その手はなんですか」
見事にすり抜けたと思いきや
しっかりと掴まれた私の右手首
解こうと振り払ってみても離れない先輩の手
「ちっ」と舌打ちをして見上げてみれば
イライラする私とは真逆にニコニコと微笑む変態……じゃなくて金髪イケメン
「君さ名前は?」
なんだ名前が聞きたくて引き止めたのか
「真田風鈴です」
それだけ言えば開放されると思っていた私の腕はなぜか解放されず…
「俺3年の立花茜」
私はあなたの名前なんて聞いてないと言いたいとこだがもう今はそれどころではない
「立花先輩ですね、覚えました
では、失礼します」
それだけ言うと先輩の力が弱まった隙に手を振りほどいてスタスタと早歩きでその場を去った
「風鈴〜スピーチ頑張れよ〜」
後ろから聞こえた先輩の声
なんなんだあの人は
初対面だよね?人懐っこいってああいう人のことを言うのか。