「No title」
裸足のまま飛び出した母さんを必死に追いかける
だけど体調の悪い俺は視界が歪み
思うように前へ進むことができなかった
「待って母さん!止まって!!」
歪む視界の中、力を振り絞って母さんを呼ぶ
目の前が二重に写り吐き気がする
その瞬間ガクンっと膝から崩れ落ち
俺は地面に倒れた。
ーーキキー!!ドンッ!!
視界は滲んだままだが
音だけはハッキリと聞こえる。
何かと何かがぶつかる音
グラグラとする頭でも
俺はそれがなんの音を意味するのかすぐ理解した
寒いのにダラダラと汗が滴り
呼吸も苦しい
だけど俺は最後の力を振り絞り立ち上がった。