「No title」




資料室へ無事到着し

正しい片付け場所が分からず適当に荷物を置く


ふぅ、と一息ついて私は


帰り道へ足を進めた



「?」




足を進めてすぐ横目で見えた窓の外の景色に違和感を感じ立ち止まる


その方向へ視線を向けると
人気の少ないゴミ捨て場の隅に
向かい合い話している男女が見えた


「浮気如きでなに?うぜーよ」


少し開いた窓から聞こえてくる男の声


「別れたきゃそう言えばいーだろ

そうやってうじうじしてんのもほんっと見ててイライラすんだわ」


悪態を着く男の目の前には
とても小柄でふわふわした女の子が下を向いていた


彼女は何も言わず拳を握りしめて
言いたいことを我慢しているようだった


正直お節介は性にあわない


だけど見て見ぬふりも
なんだか胸糞悪い



素業が悪いが私は上履きのまま
窓を乗り越え彼女たちのほうへ足を進めた




< 86 / 100 >

この作品をシェア

pagetop