「No title」
彼女たちの方へ向かう途中にあった
雨水が半分溜まったバケツを手に取る
「えっ」
小柄な彼女が私に気づき大きな目をパチパチと瞬かせる
瞬きと同時に耐えていたのであろう彼女の涙がポロリと1粒頬を伝っていった
ーーバシャッ
後のことは考えず
私は男の頭の上からバケツに入った雨水をすべてかけた
「何すんだっ!!」
男は案の定激怒した
こちらへ振り返り私を鋭く睨みつけた
彼女が気の毒だったとはいえ
私の行動は本当に馬鹿だと思う
だけど私は止まらなかった
「女の子泣かせて楽しい?」