「No title」


聞き馴染みのある声がする


痛みを覚悟して目を瞑っていた私は
何が起こったか分からなかったが


痛みは一向に感じず
覚えのある香りと温もりに体が包まれた



「女に手出すとか正気か?お前」


怒りの籠った低い声


恐る恐る目を開けると
私は後ろから守るように立花先輩に抱かれていて
私に殴りかかろうとしていた男は地面に尻もちをつき苦しそうにしていた。


恐らく先輩が1発蹴りを入れたのか
男はお腹をおさえ痛みに顔をゆがめている



私を探しに走ってきたのか

背中に感じる先輩の体は熱くて
ハァハァと早い呼吸も聞こえる




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