「No title」
今日はバイトが休み
だから先輩には家まで送ってもらった
「いつもありがとうございます
でももう今日で終わりで大丈夫ですよ
足もこの通り平気なので」
クルクルと足首を回して見せて
大丈夫だとアピールする
「これからも迎えに来るし送る」
「え?」
私の大丈夫アピールに見向きもせず
ヘルメットで乱れた私の髪を丁寧に直しながら当たり前のような顔で言う先輩
「怪我は治りましたよ?」
ほぼ完治しているのにこれ以上送り迎えをお願いするのはさすがに申し訳ない
「俺と一緒にいるのそんなに嫌か?」
髪に触れていた手が離れ
少し暗い表情をする先輩
その表情はどこか捨てられた子犬のようでキュッと胸が締め付けられる
「嫌…とか、じゃなく…申し訳…なくて…」