北風と太陽
「それでね、…太陽君?どうしたの?」
「え?あ、ごめんね。聞いてなかったわけじゃないんだ、」
「…大丈夫?具合悪い?」
「え?や、大丈夫だよ。」
「でもほら、疲れてそうだし、パフェ食べに行くのは今度にしよっか、」
「え?や、全然いんだよ?ほんと大丈夫だから。」
「私が心配なの。今日は休んで?」
「ありがとう…。晴空ちゃんは優しいんだね、」
「そんなことないよ。じゃあ、また明日ね、」
「うん。バイバイ。」
晴空ちゃんと付き合ってもうすぐに二週間が経つ。
キスもなければもちろんそれ以上のことも無い。
こうやって心配してくれるし、俺に何かを求めてくることはほぼないし、彼女がいると知ってる女子が俺にベタベタしてきていても束縛もしない。
あ、余談だけど俺が何かを求められる前にしてあげてるとか、サラーっとボディタッチを避けたりしてるからかもしれないからね?
まぁ、いい子だと思う。女の子らしくて、彼女っぽくて。でも、
これといったものがない。
クズ発言を許して欲しいけど、ほんとに普通の子なんだ。特別顔が可愛いわけでも、勉強ができる訳でもない。
成績なんかは、言ってしまえば中の中と中のげの間くらい。
本当に、普通の子。
一ヶ月付き合ってみたけど、あの子がどうして北見にあんな顔をさせるのかが分からない。
でもいい。俺は北見に勝ったんだ。
初めて北見に勝ったんだ。