北風と太陽
「私ね、今日、太陽君とさよならしようと思って来たんだ。」
「……さよ…な…ら…?」
「うん。
……太陽君、私ね、知ってたんだ。太陽君が私の事好きじゃないってこと。最初から。
なんで私なんかと付き合ってくれてるかは分からないけど。
でもね、その理由があるからって太陽君を利用して私の気持ちを優先するのは違うって…やっと思い切れたの。」
「そんな……利用してたなんて………。」
(違う。)
違うんだ。
違う。違う。利用してたのは俺の方だ。
「だからね、太陽君、これでさよならにしよう。今までごめんね。ありがとう。
それからね、太陽君、太陽君はすごいよ。
本当にありがとう。」
そう言って笑うと、晴空ちゃんは帰っていった。
北見も、俺に一瞥をくれると教室を出ていった。
一人教室に取り残された俺はやっと…気づいた。
どうして晴空ちゃんが北見にあんな顔をさせるのか。