北風と太陽
北風
俺はヘマはしなかった。
北見に勝とうとして告ったなんて悟られないようにしていた。
でも
でも気づいてたんだ。最初から。
好きじゃないのに告ってきたやつのことを、隣でどんな気持ちで見ていたんだろうか。
愛想笑いで笑いかけていた俺に、どんな気持ちで笑い返していたんだろうか。
あの笑顔の奥には何が隠されていたんだろうか。
あの子は俺を責めるようなことを一言も言わなかった。
「ありがとう」「ごめんね」って言ったんだ。
俺はあの子に何もしてあげなかったんだ。
(あぁ俺、あの子のこと、好きになったのかもしれないな……。)
だけど、晴空ちゃんには
晴空ちゃんにはお前がお似合いだよ北見。
お前はちゃんと、晴空ちゃんの良さに気づいてたんだな。
悔しいな……。
あぁ……癪だ。
「俺はまた負けちゃったんだな、北風…。」