Sweetな彼、Bitterな彼女


「どうして、『なんか』って言うの?」


蒼は、一瞬不機嫌に顔をしかめたものの、すぐに甘い笑みを浮かべた。

「紅には、たくさん魅力があるよ? 一個ずつ上げたら、キリがないくらい。でも、一番好きなところは……不器用なくらい、まっすぐなところ。紅を見た時、思ったんだ。紅は、きっとまっすぐに人を好きになるって。だから、紅に好きになってもらえたら、ずっと温かい気持ちでいられるだろうなって。思ったとおり、紅の傍は居心地がよくて、離れたくなくなった」


器用には、生きられない。
遠回しに匂わせるなんて、できない。

だったら、まっすぐに伝えるしかない。

ありのままに。
蒼なら、受け止めてくれる。


「わたし……蒼が、好きなの」

「うん」

「すごく、好きなんだと思う」

「うん」


甘いチョコレート色の瞳に、熱が宿る。



「ねえ、紅……キスしてもいい?」


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