Sweetな彼、Bitterな彼女
次の恋には慎重になると決心してから、ひと月も経っていない。
いきなりそういう関係になるのは、軽率かもしれない。
でも――、
居酒屋から直行しようとはせずに、三十分も待った律儀な不器用さを愛おしいと思った。
それが、いまのわたしの本心だ。
「紅? 大丈夫? 具合、悪いの?」
返事をしないわたしが酔っ払っていると思ったらしく、蒼が心配そうに覗き込んで来る。
すっかり見慣れたチョコレート色の瞳を見つめ、頷く。
「蒼の部屋に、連れてって」