禁断症状
1章

最低な日々

ピピピピ、、

部屋にアラームの音が響く。

夢と現実の狭間にいる私の耳に、アラーム音は正確には届かない。

ピピピピ、、

「ん…」

ガチャ

部屋のドアが開く音がする。
これは夢か現実か。

「…な…ゆうな!起きろ!」

「んん…」

優しい声がする。聞き慣れた陸の声…。

「り…く…」

ふんふわとした気持ちでいると

ちゅっ

「ん」

私の唇に柔らかい感触が伝わる。
あ…陸の唇だ。
こんな夢を見るなんて欲求不満なのか…な

「ん…??」

ちゅっ
くちゅっ

「んっんん」

口に舌が入り込んできて、このざらざらとした感触は夢でないと気がつく。

その勢いに息ができない。

「ちょっ!んんっ!」

陸の顔が目の前で揺れる。

「…はぁっ…起きた??」

「朝から何すんのっ、、!」

「お前が起きないから起こしてやったんだろ?このまま続きしたいとこなんだけど、」

しません!と言い返そうと口を開こうとして、陸の目線が上を向いたので追った

その先の掛け時計を見て

「…げっ、、遅刻、、、!」

「誰かさんのせいで俺も遅刻なんだけど?」

「ごめんなさーーーーいっ!!」

私たちは急いで準備をして、家を出た。

両親は朝早くに仕事に出かけてしまうため、朝は私たち二人なのである。

「ほら陸!走って!!」

「走ったところで遅刻は遅刻なんだから、ゆっくり行こうぜ?」

「…それもそうかあ」

結局私たちは仲良く歩いて学校に行くことにした。

幸い高校までは徒歩で行ける距離である。

それに、大好きな陸とこうしてゆっくり登校できるだけで幸せである。

「悠、嬉しそうだな」

「えへへ。陸と一緒に行くの、久しぶりだなあーと思って!」

普段は別々の時間に家を出ているため、一緒に登校するのは珍しい。

るんるんと弾む気持ちで歩いていると

「…最近、彼氏とはどうなん?」

と聞いてきたため、少し気持ちが沈んだ。

「ああ…いい感じだよ」

「ふぅん」

私、悠那には付き合って3ヶ月たつ彼氏がいる。
本当は1つ歳の離れた実の兄である陸のことが好きなのだけれど、いけないことだとわかっているため、別の人で上書きしようという最低な試みをしているわけだ。

全く、効果はないのだが。

ぐいっ
と、急に腕をひかれる

「きゃっ」

気づけば陸の腕の中にいた。

「陸…誰かに見られちゃうよ」
「誰もいねーよ」

私も陸も口に出しては言わないけれど
お互い想いあっていると思う。

事実、体の関係をもってしまっている。

血の繋がった兄妹なのに、こんなこと許されるわけもなく、誰にも言えないというわけである。

彼氏の晴輝には申し訳ないが、晴輝のスペックの高さに甘え、簡単に別れを切り出す勇気もない。
というとことん最低な私である。

「ほら。学校行くよ。」

でももし陸に彼女ができたら私、耐えられないな。

なんて、我儘すぎるよな。
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