冷酷姫に溺れて。
ピンポーン。
「はーい」
これがまともな最後の会話。
「あ、霜月さん。どうしたの?」
「この薬飲んで。入井くんも貧血で倒れたりしなくなるから」
入井くんは呆気に取られているようだった。
「どうやって……。まさか会長からっ!?」
私は何も言わなかった。
「入井くん、今までありがとう。入井くんと過ごせた日々はすごく楽しかったよ」
「な、何言って……」
「…血を吸うとき以外はもう話しかけないで。それじゃあね」
「霜月さんっ!!」
私は走って駅まで行った。
さすがに入井くんは追いかけてこない。
これで良かったんだ。