冷酷姫に溺れて。

「ねえ、理紗。どうしたの?
最近、元気ないけど」

自分でもそう思う。

原因も一つしかないって分かる。

「大丈夫だよ。ごめんね、愛。
心配かけちゃって」

「ううん。いいよ、これぐらい。友達なんだから何でも相談してね!」

「…ありがとう」

私だって、言いたいよ。

でも、言えない。

入井くんと話したいなんて言えない。

先輩から入井くんを守るためだもん。


「ねえ、霜月さん。昨日のどういう意味?」

入井くんは話しかけてくるけど、無視することしか出来ない。

「霜月さんっ!」

私は…。

ダメ、泣かない。

話したら先輩に何かされるかもしれない。

私だけに危害を加えるなら構わない。

でも、また入井くんに何かあったらと思うと怖い。

入井くん、ごめんなさい。

あなたを守る方法はこれしかないの…。
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