冷酷姫に溺れて。
「もしかして、入井絡みなの?」

今日は愛と中庭でお弁当を食べていた。

「何が?」

「悩みだよ」

「…違うよ」

愛は鋭いな。

私の気持ち、全部見透かされてるんじゃないのかって思う。

「なんで言ってくれないの?理紗が辛そうなとこ見ると、私まで辛くなるんだから!」

「ごめんね、実は……」

今までのことを一通り話した。

「そうだったんだ…。辛かったよね」

「うん…」

「で、結局理紗は入井のことが好きなんでしょ?」

「へっ!?それは…ないよ」

入井くんは告白してくれたけど、自分の気持ちがどこにあるのか分かんないし。

「でも吸血鬼に恋するのって難しいんだよね」

え?

「ほら、光と付き合ってるじゃん?大変なんだよね、あいつも」

光ってもしかして。

「蓮常寺くんと付き合ってるの!?」

「あれ、言ってなかったけ?」

「聞いてないっ!」

嘘でしょ。

「ちゃんと契約もしたし、ラブラブだから安心しな」

契約済みだったのね。

「どんな感じに契約したの?」

「指で首筋をすーっと触られただけ」

「私、気絶するまで血を吸われたんだけど!」

「あ、この契約方法は蓮常寺の吸血鬼しか出来ないらしいよ」

だから、入井くんのお父さんは契約方法は二つあるって言ったんだ。
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