冷酷姫に溺れて。

「私は先輩より、入井くんの方が好きです」

これだけはハッキリ言えるわ。

「彼は君を騙してるんだよ。
ほら吾田さん、知ってるだろ？
彼女は彼に好意を寄せているみたいでね」

確かに私もそう思ってた。

でも、入井くんは私に告白してくれた…。

「付き合ってるんじゃないかって噂があるんだよ」

え、そんなはずない。

「吾田さんに聞いてごらん。
全て分かるさ」



私は放課後、吾田さんがいるであろう教室に向かった。

まだこの時間なら間に合うはず…！

「吾田さん、話したいことがあるの」

「私もあるから」

いつも入井くんに向けている顔じゃない、怖い顔をしていた。

「…入井くんと付き合ってるって本当？」

「ええ。私たちは愛し合ってるのよ」

そんな……！

じゃあ、告白は？

告白は何だったの！？

「だから、千影に近づかないで」

それだけ言うと行ってしまった。