冷酷姫に溺れて。


私は大雪にも関わらず、傘をささないで歩いた。

私は雪女。

こんな雪、どうってことない。

それなのに、今日はなんだか冷たいな。



失恋したから?




私は泣くのを必死に堪えて、駅に向かった。


しばらくして、雪が降らなくなった。


え、なんで?

後ろを見ると、傘をさした先輩がいた。

「だから、僕にしといた方がって言ったんだよ」

「先輩…」

前の私なら抱きついてた。

でも、なんだか無理みたい。

「風邪引くから送ってあげるよ」

「…ありがとう」

ひとりで帰るのはさすがに怖かった。

先輩に頼りたくなんてないのに。
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